読書
前から気になっていた2冊。
1冊目「震災編集者」。
数々の災害を取材してきた人が、実際に被災した経験を綴った本。
こういう人がいたことも知らなかったし、そんなに熱心に震災関連の書物も読んではいなかったけれども、新聞の紹介を見て、なんとなく手に取った一冊。
(抜粋)ところで、いったいなにが「壊滅」したのだろうか。
凄惨な現場を目にして、「壊滅」を語るのはたやすい。「壊滅」する前に、そこになにがあったのかを知らなければ、軽々に「壊滅」などと言うことばは使えないのではないか。
東北とはどのような地であったのかを知らずして、「壊」も「滅」も「復」も「再」も「新」も、ありえない。
テレビや故郷で繰り返される「復興」「絆」「がんばろう」「忘れないで」という言葉に、なんとなく違和感を感じていた私にとって、この文章はとても共感できた。むしろ、少し衝撃的だった。
きっと、あの震災だけではなく、日本や世界で起きている紛争や災害にも当てはまることなんだろうと思った。テレビも新聞も、ほんの一部分しか切り取れない。この本には、5年以上の月日が刻まれている。
この本が出版された2ヶ月後、熊本地震が起きる。東日本以上の災害はないと思い込んでいた自分に腹が立った。
2冊目は山形の本。
そんなわけで、まずは山形の魅力を知ろうと思った。
故郷も山形もどちらも好きだけども、一人暮らしを始めた山形では、自由に過ごせる時間が多かった分、魅力に気づきやすかったのかもしれない。
山形はご飯が美味しい。
人がいい。
自然は厳しいけれども、美しい。
デパートや遊園地への興味は年々薄まり、今では土いじりがなにより楽しい。
5月の今では、山の幸の豊富さに驚く。
厳しい環境のなかで、食べられるものはなんでも食べたのかなと、昔の人に想いを馳せながら、慣れない山菜料理に取り組んでいる。
災害が起こらなくても、時間が経つと忘れられる風習は、どこにでもあると思う。東北に限らず、そういう風習と、その中で暮らす人々に注目していきたい、できれば実際に見て、聞いて、感じたいと思える2冊であった。